『左手』の練習は何から始めるべき?
それじゃ早速、楽譜を見ながら、実際にピアノを覚えにいってみよう。
でも、ピアノって、どうやって覚えればいいの?
これは、『漢字の覚え方』と照らし合わせると、理解しやすいよ。
漢字も、小さい子だったら「何も考えずに、ノートに何回も書く。覚えるまでは、回数で勝負!」ってやり方だけど、大人の覚え方は全然違うでしょう?
大人の覚え方はみんな、最初に構成ブロックを分析して、
親 …… 立って 木を 見る
とブロックを積み木方式で覚える。
楽譜を覚えるときも同じだよ。
「何も考えずに、回数で勝負!」 なんて、小さい子みたいな練習をしてたら、頭の悪い結果になっちゃう!
だから、ピアノの練習も、知恵のある大人らしく、構成ブロックを積み木方式で積み上げていくのです。
【練習初期 第1フェーズ】道なき道を切り開く(アタックモード)
道なき道を切り開く『親鳥とヒナたち』方式で、練習しながら
構成ブロックを積み木方式で積み上げる
みんな、黙ってると、「耳で知ってる音を指が追いかける!」 という練習をやっちゃうでしょう?
でも、もっと頭のいいやり方がありますよ!
それは、前回のページの指番号のときに出てきた『親鳥とヒナたち』という練習法!
親鳥 ・・・・ 指の起点
ヒナ鳥 ・・・・ 指のズラし方
ブロックの頭の音に正しい指番号をセットしたら、2音目以降は指のズラし方で覚える。
「ブロック」の頭の音だけ指番号をセットすれば、あとは自然な指使いを目指すだけで、残りは大抵、指の幅で当たるもの。
残りの音符は、『正解の指の軌道』をパターン化させて、できるだけ指の流れとして覚えるのです。
ヒナ鳥たちは、単音ずつではなく、セットで覚える。
階名のカタカナには頼らない。流れで弾く。
親鳥の歩行ルートだけ整理したら、ヒナ鳥は勝手に付いてくる。
もしついてこないとしたら、それは練習のときに「でも、ちょっとだけなら考えてもいいよね!」と妥協した結果なので、ヒナ鳥は甘やかさないこと。
練習の時から、考えなくても弾ける、たくましさを身につける!
そうすれば、わずか数ターンの練習で弾けるようになって、上達の早さに驚きますよ!
指の幅 で正解を当てる |
パターン (A) |
「ド-ミ-ソ」
などは、間1個の指の幅で 指番号 531 の順で、押せば 自然に正解に当たります。 |
パターン (B) |
「ド-ソ-ド」
などは、手をパーの形にして 指番号 521 の順で、押せば 自然に正解に当たります。 |
【練習初期 第1フェーズ】道なき道を切り開く(アタックモード)
親鳥さえ当たってれば、ヒナたちは勝手についてくる。
ブロックの起点の音だけ正しい指番号でセットしたら
残りの音符の動きはパターン化させて、できるだけ指の流れで覚える。
【覚え方の基本】
・ 楽譜を見て、音の流れを覚える
→ 手元を見て、記憶から弾こうとする(弾けない)
・ もう一度覚え直し
→ 手元を見て弾こうとする(ちょっと弾けた)
こうやって、少しずつ自分の内側に、正解のパターン化を蓄積していく。
この時、左手になんらかの規則性が発見できれば、記憶はずっと楽になります。
「同じ音形の繰り返し」 はないか? 何か 「決まった動きのパターン」 はないか?
実は、バラバラの動きに見えていたものも、よく見ると、前回のブロックの形のまま 「平行移動」 だったとか、何か一つでも、記憶の助けとなるパターンが見つかれば、ずっと覚えやすくなりますよ。
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左手ソロの音の流れが、指に刻み込まれましたか?
今度は流れで確認。1段の通し練習に進みます。
【第2フェーズ】道を踏み固めて通りやすくする(慣らしモード)
最初は1小節ずつ覚えました。
練習が1段の最後まで届いたら、今度は流れで確認。1段の通し練習です。
ココでのポイントは
最初は、やられるところからスタートするもの!
なので、目の前の失敗から学習能力を発揮!
初心者の場合、ブロック練習ならできたことが、通しになるとうまくいかないところからスタートします。
思い出しながら弾いてると、音がカクカクしてしまうし、ところどころ「ええとぉ・・・」となってしまう。
通しになると、途端に難しくなるからね。
だから、まずは焦らず、適応の仕方の確認から!
通し練習でうまくいかなかった場合、本人は「まだ技術が足りない」と思いがちですが、本当は違います。
ブロック練習ならできたのに、通し練習になったらできないというのは、技術で引っかかってるのではなく、「記憶の混乱」で引っかかってるのです。
だから、目の前の失敗から学習能力を発揮させて、この混乱を整理すればいい! たったそれだけで、驚くほどスッとうまくいくのです!
では、記憶の混乱のとき方!
それは、親鳥さんの出現パターンの確認です。
いきなり全部弾こうとはせず、まずはブロックの頭の音(親鳥)だけを拾い読み。
ブロックの頭同士をつなげて、親鳥の出現パターンを確認してください。
もともと、2音目以降は、『指の幅』や『指の軌道』で弾ききる練習をしてたわけだから、親鳥さんの歩行ルートさえ整理できれば、2音目以降は後からついてくる。
『親鳥とヒナたち』方式で先に練習をしていたのは、この思い出し方によって、通し練習がスッと通るためなのです!
簡単でしょう?
それだけで、通し練習で混乱していた記憶は、ほんの数回の練習だけで、バッチリ修正されますよ!
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思い出しながらカクカク→ スムーズに弾ける練習へ
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ここからの練習テーマは、「両手合わせにつなげる練習」 に移ります。
左手ソロの練習が、孤立したままだと、両手合わせになったときにひどい目にあわされるので、ここで、右手のメロディーと重なるタイミングのつかみ方。
左手ソロを両手合わせにつなげる練習をするときは、右手パートを自分の口でラララ~と歌いながら、弾いてみよう。
歌いながら弾くなんて、そんな器用なことは、できない?
口でメロディーを歌ったら、左手がボロボロになっちゃう?
まあ、確かにそうなる。
そうなるんだけど、それは数回やるうちに慣れてくるので、うまくいかないのは最初だけだよ。
それに、少ししたら、両手でバラバラの動きを合わせる練習に進むんだから、両手で弾けるようになりたいなら、ココは頑張りどころでしょう?
ここで、ヒーヒー言ってるままだと、両手合わせになったときにひどい目にあわされるので、今のうちに、両手が合わさったときのタイミングをつかんでおくのです。
これは、両手の、バラバラの動きを合わせるための『最初の1歩目』でもあるのです!
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ただ、両手演奏に進む前には、もう一度「勝手な思い込み」が残ってないか、楽譜で確認してみてほしい。
勝手な思い込みで、「きっとこんな感じだろう」と練習していたものが、後で「間違った音でずっと練習してたことに気づいてショック!」 なんてことは、よくある話!
なので、両手演奏の練習に進む前に、CDなどで曲を聴きながら一緒に楽譜を目で追って、音の正確さだけでなく、音が重なるタイミングも縦割りでチェックしてみよう!
自分の中に「勘違い」が残ってないか、最終チェック!
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どうでしょう、左手の動きもスムーズになって、演奏に余裕も出てきましたか?
合格の目安は、左手ソロなら、「ええとぉ・・・」と言わずにスムーズに5連勝で弾けるかどうか?
甘い合格点で強引に先に進むと、「両手合わせ」のときにひどい目にあわされるから、「ええとぉ・・・」と言わずにスムーズに5連勝を!!
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さいごのまとめ 巻末の確認
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今すぐ弾けるようになりたいなら、まずは小さな成功体験をとって
その成功を、『1段』→『1ページ』→『曲全体』へ成功を拡大コピーさせていく。
そのためにも、先に進むのを焦るのではなく
必ず「成功をとってから次」に進まないといけない!
フェーズ1 トンネル掘り (アタックモード)
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まずは左手のみの練習!
『漢字の覚え方』と同じで、構成ブロックを積み木方式で覚える。
覚えるのはブロックの起点となる最初の一音だけ。
あとは、指の軌道でなんとかする。
「ブロック」の頭の音だけ正確な指番号でセットして
あとは自然な指使いを目指すほうが
マジメに全部キッチリやる! より、スムーズに練習が前に進む!
フェーズ2. 地面を磨く (慣らしモード)
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ブロックなら弾けるのに、『通し練習』になるとうまくいかない?
『通し練習』がうまくいかないのは、記憶の混乱で引っかかってるだけ!
まずは、親鳥の出現パターンの確認。
親鳥の歩行ルートを整理したら、ヒナ鳥は勝手に付いてくる。
もしついてこないとしたら、それは練習のときに
「でも、ちょっとだけなら考えてもいいよね!」
と妥協した結果なので、ヒナ鳥を甘やかさないこと。
もともと、左手は音符数が少ないから、このやり方で練習すれば、すぐに一段も覚えられるはず。
特に、ポピュラーミュージックの場合は、左手の動きに規則的なパターンも多いから、その規則性に気がつけば、覚えるのはさらに簡単になるよ。
フェーズ3. 合格の目安 (左手ステージのボス戦)
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右手のメロディーを歌いながら、頭の処理が、両手演奏時に似てきても、
「ええとぉ・・・」と言わずにスムーズに弾けるか?
この練習をしながら、最後は少しずつ「考えながらでないと弾けない」→「頭真っ白で弾いても、そこそこ成功」へと抜いていって、
うまくいくまでの練習の流れ1.余裕がなくて考えながらでないと弾けない
2.ちょっと余裕が出てきた
3.頭真っ白で弾いても、そこそこ成功
4.もう指任せでもスイスイ
へと、少しずつ演奏の余裕度を高めていく。
1回だけの成功だと、たまたまかもしれないので、5連勝を取るまでは安心しない。
ボス戦での5連勝が、次のステージの昇格条件。
ボス戦をクリアしたら、次の右手ステージに進もう。